この記事を書いた人:kazuki|パワーリフティング競技者
大会出場経験:パワーリフティング3回、シングルベンチプレス1回。初出場時の記録はトータル407.5kg。自身の試行錯誤した経験をもとに、初心者の方が迷いやすい「大会準備・フォーム・ギア選び」を、競技者目線の実体験ベースで発信しています。
パワーリフティングを始めたいと思っても、「まず何からやればいいのか」「普通の筋トレとどう違うのか」「大会を目指すにはどこまで準備すればいいのか」で止まってしまう人は多いです。
ですが、実は、パワーリフティングの始め方は難しくありません。最初の3か月は、フォームを覚える、練習記録をつける、無理のない頻度で継続する、必要最低限のギアをそろえる、そして小さく大会を意識する。この順番で進めれば、初心者でも無理なく競技の土台を作れます。
この記事では、パワーリフティング初心者が最初の3か月でやることを、実践しやすい順番で整理して解説します。これから始める人が遠回りしないためのロードマップとして活用してください。
この記事でわかること
- パワーリフティングを始める最初の3か月の進め方
- 最初に優先すべき練習内容
- 記録の取り方と見直し方
- ギアをそろえるタイミング
- 大会を目標にする時期の考え方
パワーリフティングの始め方は「最初の3か月」で土台が決まる
パワーリフティングを始めるとき、多くの人は「どれくらいの重量を挙げればいいのか」「大会に出るには何が必要なのか」といった部分が気になります。もちろんそれらも大事ですが、初心者のうちはまず競技の土台を作ることの方が優先です。最初の3か月でやるべきことを絞って取り組めるかどうかで、その後の伸びやすさは大きく変わります。
この時期は、記録を急いで伸ばす期間というよりも、スクワット・ベンチプレス・デッドリフトを競技として続けていくための基礎を整える期間です。ここでフォーム、環境、記録の習慣ができてくると、後からルールや大会準備を学ぶときにもつまずきにくくなります。
最初から高重量を追うより、動作を固めることが先
パワーリフティングは重量を競うスポーツですが、始めたばかりの段階でいちばん大切なのは、重さそのものより3種目の動きを安定させることです。いきなり高重量を追いかけると、フォームが崩れた状態で練習回数だけを重ねてしまいやすく、後から修正するのが難しくなります。
初心者のうちは、「どうすればもっと重く持てるか」よりも、「どうすれば毎回同じように動けるか」を意識する方が結果的に伸びやすくなります。パワーリフティングでは再現性の高いフォームが大きな武器になるので、最初の3か月はその土台を作る時期だと考えておくと進めやすいです。
初心者の3か月は「競技の基礎づくり」の期間
最初の3か月で目指したいのは、上級者のような重量を扱えるようになることではありません。まずは、BIG3を安全に続けられる環境を整え、自分のフォームを把握し、練習記録を見返せる状態を作ることが重要です。
この段階で基礎を飛ばしてしまうと、練習はしているのに何が良くて何が悪いのかが分からないまま時間が過ぎやすくなります。逆に、3か月で基本の流れが見えてくると、その後の大会準備やギア選びもかなりスムーズになります。
この時期にやるべきことは多くない
初心者が最初から覚えるべきことは、意外と多くありません。大きく分けると、フォームを覚える、練習を記録する、無理なく続ける、必要最低限のギアを考える、大会を現実的な目標として意識するくらいで十分です。
あれもこれも一気にやろうとすると、情報だけ増えて練習が雑になりやすくなります。最初の3か月は、やることを広げるよりも、必要なことを絞って丁寧に積み上げる方がうまくいきます。
1か月目にやること|フォームと環境を整える
最初の1か月は、パワーリフティングのスタート地点です。この時期は、記録を伸ばすことよりも、安全にBIG3を練習できる環境を確保し、基本フォームを覚え、自分の動きを確認する習慣をつけることが中心になります。
この1か月で良いスタートが切れると、その後の練習内容がかなり安定します。逆にここを曖昧にしたまま進むと、2か月目以降も「何が正しいのか分からないまま続ける」状態になりやすいです。
BIG3を安全に練習できる環境を確保する
まず優先したいのは、スクワット・ベンチプレス・デッドリフトを無理なく練習できる環境を見つけることです。パワーラック、フラットベンチ、十分なプレート、デッドリフトを行いやすい床環境があるかは最低限チェックしておきたいポイントです。
加えて、初心者のうちはフォーム確認がしやすい環境も重要です。動画を撮れる、周囲に同じ種目をやっている人がいる、必要なら声をかけやすい、といった条件があるだけでも上達のしやすさは大きく変わります。最初の段階では、理想の専門ジムをいきなり探しきれなくても大丈夫ですが、少なくともBIG3を継続しやすい場所を確保することが先です。

パワーリフティングを目的とするならば、ジムの規則として床引きのデッドリフトと動画撮影の2点が許可されている環境を優先して探すのが理想的です。
スクワット・ベンチプレス・デッドリフトの基本フォームを覚える
1か月目は、各種目の細かいテクニックを詰めるよりも、まず基本動作を一通り理解することを目標にします。スクワットなら立ち位置やしゃがみ方、ベンチプレスなら肩の位置と足の踏ん張り、デッドリフトならバーの位置と引き始めの姿勢など、最初に押さえるべきポイントはいくつかあります。
この段階では、完璧を目指す必要はありません。大切なのは、「自分がどんな形で挙げているか」を言葉で説明できるくらいまで理解することです。フォームは後から少しずつ修正していけばよいので、最初は安全に反復できる基本形を作る意識で進めましょう。
ベンチプレスの「一生モノの基本フォーム」を身につけたい方は、こちらの記事を参考にしてください。肩の位置や足の踏ん張りなど、土台を安定させるための具体的な手順を解説しています。
毎回の練習を動画とメモで残す
初心者ほど、練習内容をその場の感覚だけで終わらせないことが大切です。毎回のセットをすべて撮る必要はありませんが、少なくともメインセットの一部は動画で残し、後から見返せるようにしておくと上達が早くなります。
あわせて、重さ・回数・その日の感覚を短くメモしておくと、自分の変化が見えやすくなります。たとえば「スクワットは深さが浅くなりやすい」「ベンチプレスは胸で止めるとブレる」「デッドリフトは引き始めで腰が浮く」など、課題が少しずつ言語化できるようになります。これが2か月目以降の練習の質につながります。
2か月目にやること|記録をつけて練習を安定させる
2か月目は、1か月目で作ったフォームと環境をもとに、練習を安定して続ける段階です。ここで大切なのは、毎回の練習を記録しながら、自分なりのペースを作ることです。
最初の1か月でなんとなく動きがわかってきたとしても、記録がなければ成長や課題は見えにくいままです。2か月目は、練習を「やった」で終わらせず、「どうだったか」を振り返れる状態にしていきます。
重量・回数・感覚を毎回記録する
記録といっても、最初から複雑な管理をする必要はありません。メイン種目について、重量・回数・セット数・やりやすさを残すだけでも十分です。感覚の欄には、「余裕あり」「重かった」「フォームが崩れた」など短いメモだけでも役立ちます。
この習慣があると、同じ重量でも前回より安定したか、回数が増えたか、フォームが改善したかが見えるようになります。記録を取ることは、初心者にとって単なる管理ではなく、練習の意味を作る作業でもあります。
週2〜3回の頻度で無理なく続ける
初心者が最初から高頻度で詰め込みすぎる必要はありません。むしろ、仕事や生活とのバランスを崩さず、週2〜3回で継続できる形を作る方が大切です。パワーリフティングは一度だけ頑張る競技ではなく、継続の積み重ねで伸びていく競技だからです。
週2回でも、BIG3にしっかり触れながらフォーム確認と記録を続ければ、十分に土台は作れます。時間に余裕がある場合は週3回でも良いですが、疲労でフォームが崩れるくらいなら回数を増やす意味はあまりありません。まずは、翌週も無理なく続けられる頻度を見つけることが大切です。
苦手種目や崩れやすい動きを把握する
2か月目に入ると、なんとなく「自分は何が苦手か」が見えてきます。スクワットでしゃがみが浅くなる、ベンチプレスで毎回軌道がブレる、デッドリフトでスタート姿勢が安定しない、といった傾向が少しずつ分かってきます。
この段階で重要なのは、苦手を一気に直そうとすることではなく、自分のクセを把握することです。問題が見えてくるだけでも十分前進です。初心者のうちは、課題を見つけられること自体が大きな成長だと考えておくと、焦らず進めやすくなります。
3か月目にやること|ルールと大会を意識し始める
3か月目は、フォームと練習習慣の土台が少しずつできてきた段階です。このタイミングで、パワーリフティングを単なる筋トレではなく、競技として理解する視点を少しずつ入れていくと、練習の意味がさらに明確になります。
ここで大事なのは、いきなり大会に出ることを決めることではありません。まずは、ルールや判定の考え方、必要最低限のギア、初めての大会に向けた現実的なイメージを持ち始めることです。
判定基準をざっくり理解する
パワーリフティングでは、ただ重量が動けばいいわけではありません。スクワットには深さ、ベンチプレスには静止、デッドリフトにはフィニッシュ姿勢など、競技としての判定基準があります。3か月目あたりから、こうしたポイントをざっくり理解しておくと、自分の練習が一気に「競技寄り」になります。
最初から細かいルールをすべて暗記する必要はありません。まずは、「普段の自分の動きが大会ではどう見られるのか」を意識するだけでも十分です。この視点が入ると、フォーム確認の意味もよりはっきりしてきます。
スクワットの深さやデッドリフトのフィニッシュ姿勢など、「競技として認められるフォーム」の具体的な基準についてはこちらの記事にまとめています。自分の試技を「成功」へ繋げるためのガイドとして、ぜひ参考にしてください。


必要最低限のギアをそろえ始める
3か月目に入って練習が継続できているなら、必要最低限のギアを考え始めるタイミングです。初心者が最初に優先しやすいのは、ベルト・リストラップ・シューズの3つです。これらは高額なフル装備ではなくても、練習の安定感や再現性を高める助けになります。
具体的にベルト、リストラップ、シューズをどのような基準で選べばよいかについては、下記の記事にまとめています。




一方で、最初からすべてをそろえる必要はありません。ニースリーブやシングレットなどは、必要性が見えてきてからでも十分です。まずは、練習頻度や目標に対して、本当に必要なものから少しずつ整えていく方が失敗しにくいです。
ニースリーブの導入やシングレットの購入を検討するタイミングや、具体的な選び方の基準については、下記の記事を参考にしてください。


初めての大会を現実的な目標にする
3か月目の段階でおすすめなのは、「今すぐ出る」と決めることではなく、大会に出るならどのくらい先を目標にするか考え始めることです。たとえば3〜6か月先に初めての大会をイメージできるようになると、日々の練習にも意味が生まれやすくなります。
「いつか出る」を「具体的にいつ出るか」に変えるために、まずは大会出場の全体像を把握しておくのがおすすめです。以下の記事では、登録から当日までの流れを分かりやすく解説しています。
また、大会出場を具体的に意識し始めたら、併せて知っておきたいのがピーキングの考え方です。どれほど熱心に練習を積んでも、大会当日に疲労が残っていては持てる力を出し切れません。本番でベストパフォーマンスを発揮するために、直前の数週間でどのように練習量を調整し、実力を解放していくのか。その戦略的な調整方法についても、早めに目を通しておくと準備がよりスムーズになります。
最初の大会は、高い順位を狙う必要はありません。むしろ、ルールを守って3種目をやり切ることに価値があります。大会を意識することで、フォーム、記録、道具、練習頻度が少しずつ一本の線でつながっていきます。
初心者が最初の3か月でやらなくていいこと
パワーリフティングを始めたばかりのときは、「ちゃんとやらなきゃ」と思うほど情報を詰め込みすぎやすくなります。ですが、最初の3か月はやることを増やすより、やらなくていいことを知る方がむしろ重要です。
余計なことを減らせると、フォーム・環境・記録といった本当に大事な部分に集中しやすくなります。
いきなり高額なギアを全部そろえること
競技用のギアにはいろいろな種類がありますが、始めたばかりの段階で全部そろえる必要はありません。高額なギアを一気に買っても、使いこなせないままになることがありますし、自分に合うものが分からない段階では選びにくいです。
最初は、練習に必要なものを必要な順にそろえるだけで十分です。道具にお金をかけるより、まずは継続して練習できる環境を作ることの方が大切です。
上級者のプログラムをそのまま真似すること
SNSや動画で上級者の練習を見ると、強度の高いメニューや複雑な組み方に目が行きがちです。ですが、初心者が同じことをそのまま真似しても、狙いが分からないまま疲れるだけになりやすいです。
最初の3か月は、複雑なプログラムよりも、BIG3に安定して触れられるシンプルな構成の方が向いています。大事なのはメニューの派手さではなく、継続して改善できることです。
強い選手の「結果としてのメニュー」ではなく、今の自分に最も必要な「土台作りのメニュー」を選べるかどうかが、その後の伸び代を決めます。初心者が迷いなくBIG3の基礎を固め、着実に重量を伸ばしていくための具体的なプログラムの考え方については、こちらの記事を参考にしてください。


最初から完璧なフォームを求めすぎること
フォームは大切ですが、始めたばかりの時点で完璧を目指しすぎると、逆に練習が進まなくなることがあります。少しの違和感やブレがあるたびに止まってしまうと、反復回数が足りず、動作が体に定着しにくくなります。
大切なのは、危険な崩れ方を避けつつ、少しずつ良くしていくことです。初心者のうちは、「今の自分にとって再現しやすいフォーム」を育てる意識の方が現実的です。
初心者におすすめの最初の3か月の進め方【シンプル版】
ここまで読んでも、「結局どう進めればいいのか」をシンプルに知りたい人もいると思います。そんな人向けに、最初の3か月の進め方をざっくり整理すると次のようになります。
週2回で始める場合
週2回なら、1回の練習で2〜3種目に触れながら、BIG3をまんべんなく練習していく形が現実的です。1日はスクワット中心、もう1日はデッドリフト中心にし、ベンチプレスは両日で少しずつ触れる形でもよいです。
頻度が少ない分、毎回の記録と動画確認がとても重要になります。週2回でも、内容を振り返りながら続ければ十分に前進できます。
週3回できる場合
週3回確保できるなら、BIG3それぞれに比較的余裕を持って触れやすくなります。1日1種目を軸にしながら、補助的に他の種目を少し入れる形にすると、フォーム確認もしやすくなります。
ただし、回数が増えたからといって毎回追い込みすぎる必要はありません。3回とも質を保てることが前提です。疲労でフォームが乱れるなら、量を増やすより内容を整える方が先です。
一人で始める場合の工夫
一人で始める場合でも、パワーリフティングは十分に取り組めます。その場合は、動画を撮る、練習メモを残す、同じ悩みを持つ人の情報を比較するといった工夫がかなり役立ちます。
誰かに直接見てもらえない場合でも、自分のフォームを客観視できる仕組みがあれば改善は進みます。一人だから不利というよりも、一人でも振り返れる仕組みを持つことが重要です。
3か月後に目指したい状態
最初の3か月で大事なのは、数字として大きく伸びていることよりも、競技として続けていくための状態が整っていることです。3か月後に次の状態ができていれば、かなり良いスタートが切れています。
3種目の基本フォームを説明できる
スクワット・ベンチプレス・デッドリフトについて、自分がどこを意識しているか、どこが苦手かを言葉で説明できるようになっていれば十分前進です。フォームは「なんとなく」ではなく、「どこを直したいか」が分かるだけで改善しやすくなります。
自分の練習記録を見返せる
重量・回数・感覚・動画がある程度たまっていれば、自分がどのように練習してきたかを振り返れるようになります。これは初心者のうちに作っておきたい大きな財産です。記録がある人は、次に何を直すべきかを考えやすくなります。
大会に出るかどうかを判断できる
3か月後に大会へ出る必要はありませんが、「このまま続けたら出られそうか」「あと何が足りないか」を考えられる状態になっていれば十分です。競技として続けていくかどうかを判断できるだけでも、この3か月には大きな意味があります。
まとめ|最初の3か月は「重さ」より「土台づくり」
パワーリフティング初心者が最初の3か月でやるべきことは、意外とシンプルです。安全に練習できる環境を整え、BIG3の基本フォームを覚え、記録をつけながら無理なく続けること。そこに少しずつルールやギア、大会の視点を加えていけば、自然と競技の土台はできてきます。
最初から完璧なフォームや高重量を目指さなくても大丈夫です。重要なのは、続けられる形で始めること、そして自分の練習を振り返れる状態を作ることです。パワーリフティングは、最初の一歩を丁寧に踏み出した人ほど、後から伸びやすい競技です。
最初にやるべきことを絞るのが上達の近道
初心者のうちは、情報を増やすより、やることを絞る方がうまくいきます。フォーム、記録、継続。この3つを軸に最初の3か月を過ごせば、その後のギア選びや大会準備もかなり見通しが立ちやすくなります。
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